「退職届を提出したはずなのに、会社から『受け取っていない』と言われた」
「上司に手渡した退職届を紛失されたらしい……」
「コピーも写真も残していない。提出したことを証明できないけど、退職できる?」
きちんと退職届を提出したにもかかわらず、会社側で紛失されてしまったら不安になりますよね。
特に、
「もう一度退職届を出さないと退職できないの?」
「提出した証拠がなければ、退職日は延びてしまう?」
「会社から『退職届を受け取っていないから退職は認めない』と言われたら?」
と心配になる方もいるでしょう。
結論からいうと、会社が退職届の原本を紛失したからといって、それだけで退職の意思表示がなかったことになるとは限りません。
ただし、会社側が「退職届は受け取っていない」と争ってきた場合、いつ・誰に・どのような方法で退職の意思を伝えたのかが重要になります。
この記事では、退職届を会社に紛失された場合の対処法や、提出した証拠が残っていない場合にどうすればよいのかを解説します。
退職届を会社が紛失したら退職できなくなる?
まず知っておきたいのは、「退職届という紙が現在会社に存在しているか」と「退職の意思表示が会社に到達したか」は同じ問題ではないということです。
民法第97条では、意思表示について、
意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
と定められています。
つまり、重要なのは単に会社が現在退職届を保管しているかどうかではなく、退職の意思表示が会社側に到達していたかどうかです。
法務省の資料でも、「到達」は相手が実際に内容を読んだ場合だけでなく、相手が意思表示を知ることのできる状態に置かれた場合を含む考え方が示されています。
そのため、たとえば上司や会社の担当者が退職届を受け取った後、社内で紛失したというケースなら、「会社が紛失した=最初から提出されていなかった」と直ちに決まるわけではありません。
ただし「提出した証拠がない」場合は注意
問題になるのは、会社から、
「そんな退職届は受け取っていない」
「提出された記録がない」
と言われた場合です。
本人は確かに渡したと認識していても、コピー・写真・メール・郵送記録などが何も残っていなければ、後から「いつ退職の意思表示が会社に到達したのか」を巡って争いになる可能性があります。
そこで、退職届を紛失されたことが分かったら、会社とのやり取りをこれ以上口頭だけで済ませないことが大切です。
退職届を会社に紛失されたときの対処法
まず、退職届を渡した日時や相手をできるだけ具体的に整理しておきましょう。
たとえば、
- ○月○日○時ごろに直属の上司へ手渡した
- 会議室で退職届を渡した
- 渡した際に同僚がその場にいた
- 提出後、上司と退職日や引き継ぎについて話した
- LINEやメールで退職について会社とやり取りしている
などです。
退職届そのもののコピーがなくても、提出前後のメールやLINE、退職日についてのやり取りなどが事実関係を確認する材料になる可能性があります。
次に、会社へ書面やメールなど記録が残る方法で確認します。
たとえば、
「○月○日に○○様へ退職届を提出しましたが、紛失したとのご連絡を受けました。念のため、○月○日付で退職の意思をお伝えしたことを改めて確認いたします」
など、最初に退職届を提出した日と、退職の意思を明確に記録として残す方法が考えられます。
退職届は再提出したほうがいい?
会社から「紛失したので、もう一度提出してください」と言われることもあります。
再提出すること自体は可能ですが、ここで注意したいのが日付です。
会社側の紛失なのに、新しい退職届だけを提出すると、後から「再提出した日が最初の退職申出日だった」という扱いを主張されるなど、認識の食い違いが生じる可能性があります。
そのため再提出する場合には、
「○月○日に提出済みの退職届が紛失したため再提出するものです」
など、最初に提出した日が分かる記録を併せて残しておくとよいでしょう。
また、再提出する退職届については、提出前に写真やコピーを残しておくことをおすすめします。
会社が「受け取っていない」と言い張る場合は?
会社が退職届の受領自体を否定する場合には、改めて証拠が残る方法で退職の意思を通知することを検討します。
方法としては、
内容証明郵便+配達証明
などがあります。
内容証明郵便は、「いつ、どのような内容の文書を、誰から誰に差し出したのか」を郵便局側に記録として残せます。
さらに配達証明を利用すれば、配達された事実についても証明を受けられます。
これにより、「退職すると言った・言わない」「退職届を受け取った・受け取っていない」というトラブルを防ぎやすくなります。
会社が退職を認めなくても退職できる?
無期労働契約の場合、会社が「退職を認めない」と言っただけで永久に辞められなくなるわけではありません。
厚生労働省は、期間の定めのない労働契約について、労働者が退職届を提出するなどして退職を申し入れた場合、原則として2週間経過すると労働契約が終了すると案内しています。
大阪労働局も、期間の定めのない雇用契約では、会社の同意がなければ退職できないというものではないと説明しています。
ただし、有期労働契約の場合はルールが異なります。
契約期間の途中で退職する場合、原則として民法628条の「やむを得ない事由」などが問題になるため、「誰でも必ず2週間で退職できる」と考えるのは適切ではありません。厚生労働省の案内でも、無期契約と有期契約は区別されています。
自分が無期雇用なのか有期雇用なのか分からない場合は、雇用契約書や労働条件通知書を確認しましょう。
退職届を提出するときは「提出した証拠」を残しておこう
今回のようなトラブルを避けるためにも、退職届を提出するときには記録を残しておくことが重要です。
手渡しする場合でも、提出前に退職届をスマートフォンで撮影したり、コピーを保管したりしておくと安心です。
さらに、
「本日、○月○日付の退職届を提出しました」
とメールなどで会社へ連絡しておけば、提出した日時を確認する材料になります。
郵送する場合には、追跡できる方法や、必要に応じて内容証明・配達証明などを検討するとよいでしょう。
退職届は「出したから大丈夫」で終わらせず、後から提出の経緯を確認できる状態にしておくことが、トラブル防止につながります。
退職届を紛失され、会社とのやり取りが不安な場合は
退職届を会社に紛失されてしまうと、
「もう一度会社に連絡するのが怖い」
「受け取っていないと言われたらどうしよう」
「退職日の話をもう一度するのが精神的に負担」
と感じる方もいるでしょう。
特に、すでに会社との関係が悪化している場合、一人で何度も会社とやり取りを続けること自体が大きな負担になることがあります。
そんなときは、一人で抱え込まず、状況を整理したうえで第三者への相談を検討することも一つの方法です。
退職サポートDREAMでは、退職に関する会社への連絡に不安がある方からのご相談を受け付けています。
「退職届を提出したのに会社が紛失した」
「提出した証拠を残していなかった」
「会社から退職届を受け取っていないと言われている」
など、状況をお聞きしたうえで、対応可能な範囲をご案内します。
※個別の法的判断や法律相談が必要なケースについては、弁護士など適切な専門家への相談をご検討ください。
まとめ|退職届を会社が紛失しても、まず提出状況を整理しよう
会社が退職届を紛失したからといって、それだけで退職の意思表示までなかったことになるとは限りません。
重要なのは、退職の意思が会社側にいつ到達したのかという点です。民法97条では、意思表示は相手方に到達した時から効力を生じるとされています。
ただし、提出した証拠がなく、会社も受領を否定している場合にはトラブルになる可能性があります。
その場合は、最初に提出した日時・提出相手・当時のやり取りなどを整理し、今後はメールや書面など記録が残る方法で対応することが重要です。
一人で会社とのやり取りを続けるのが負担になっている方は、ご自身の状況を整理するところからご相談ください。
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