法律と就業規則の違いを解説
退職は1か月前?それとも2週間前?正社員・契約社員・アルバイトなど、雇用形態ごとの退職申出時期と就業規則との違いをわかりやすく解説します。
「退職は1か月前?2週間前?」どちらが正しい?
「会社を辞めたいけど、何日前までに言えばいいの?」
「就業規則には1か月前と書いてあるけど、法律では2週間前って本当?」
「アルバイトや契約社員も同じ?」
退職を考えたときに、多くの方が迷うのが**“いつまでに会社へ伝えればいいのか”**という点です。
結論からお伝えすると、期間の定めがない無期労働契約では、法律上は原則として退職の申出から2週間で労働契約を終了できます。
一方で、会社の就業規則に「退職希望日の1か月前までに申し出る」などの手続きが定められているケースもあります。厚生労働省も、無期労働契約では原則2週間前という法律上のルールを示しつつ、就業規則等の退職手続きも確認して適切に進めることがトラブル防止のため重要と案内しています。
この記事では、
・退職は何日前に伝えればいいのか
・法律上の「2週間」とは何か
・就業規則の「1か月前」との違い
・正社員・契約社員・アルバイトの違い
・会社が退職を認めてくれない場合
について分かりやすく解説します。
無期雇用なら法律上は原則2週間前
正社員など、契約期間が決まっていない無期労働契約の場合、民法627条1項により、労働者は退職を申し出てから原則2週間で労働契約を終了できます。
厚生労働省の2025年12月版「モデル就業規則」でも、無期雇用の場合は会社の承認がなくても、退職の申出をした日から原則14日を経過したときに退職となることが説明されています。
つまり法律上は、
7月1日に退職を申し出る ↓ 原則として14日経過 ↓ 退職
という考え方になります。
ただし、実際には会社と相談して1か月後などを退職日に設定するケースも多くあります。
「月給制なら月末まで辞められない」は現在のルールではない
以前の情報では、
「月給制の場合は月の前半に申し出ないといけない」
などと説明されることがありました。
しかし厚生労働省は、2020年4月1日施行の改正民法以降、労働者側からの辞職については月給制や年俸制でも予告期間は一律2週間と説明しています。
そのため、現在の記事では、
「月給制だから必ず月末まで辞められない」
と説明するのは適切ではありません。
では、就業規則の「1か月前」は無視していい?
会社によっては就業規則に、
自己都合により退職するときは、退職日の1か月前までに申し出ること
などと定めている場合があります。
ここで、
「法律では2週間だから、就業規則なんて無視していい」
と考えるのはおすすめできません。
厚生労働省は、一般的に就業規則等には退職手続きが定められているため、内容を確認したうえで適切な退職手続きを取ることがトラブル防止のため重要と案内しています。
できる状況であれば、就業規則に沿って早めに申し出たほうが、
・引き継ぎ
・有給消化
・貸与品返却
・退職書類
などもスムーズに進めやすくなります。
就業規則で2週間より長く設定できる?
ここは少し注意が必要です。
厚生労働省の「スタートアップ労働条件」では、無期労働契約について、民法627条の2週間を超える辞職の予告期間を就業規則で設定することはできないとの裁判例が多いと説明されています。
つまり、
「会社の許可が出るまで辞められない」
「3か月前に言わなければ絶対に退職できない」
などによって、労働者の辞職そのものを無期限に制限することはできないという考え方です。
一方で、会社との合意によって退職する**「合意退職」**について、申込み時期を就業規則で定めること自体は可能と説明されています。
正社員は何日前に言えばいい?
正社員でも、重要なのは雇用期間の定めがあるかどうかです。
一般的な無期雇用の正社員であれば、
法律上:原則2週間前
となります。
ただし、円満に退職したい場合は、就業規則を確認し、
1か月前など会社のルールに沿って早めに相談する
のが現実的です。
アルバイト・パートは何日前?
アルバイトやパートだからといって、自動的に別の法律になるわけではありません。
契約期間の定めがないアルバイト・パートであれば、民法627条の原則が適用され、退職の申出から2週間で辞めることができます。
厚生労働省も、アルバイトについて契約期間の定めがなければ、退職を申し入れて2週間経過すれば退職できると案内しています。
そのため、
「アルバイトだから店長が認めるまで辞められない」
ということではありません。
契約社員は「2週間前」とは限らない
契約社員などで、
2026年4月1日~2027年3月31日
のように契約期間が定められている場合は注意が必要です。
有期労働契約の場合、契約期間の途中で一方的に退職するには、原則としてやむを得ない事由が必要とされています。
つまり、
「契約社員でも2週間前に言えば必ず辞められる」
とは言えません。
まず契約書を確認しましょう。
1年を超える有期契約には例外がある
一定の1年を超える有期労働契約では、労働基準法137条により、契約開始から1年を経過した後は、使用者へ申し出ることでいつでも退職できる場合があります。
例えば、
3年間の有期契約 ↓ 勤務開始から1年以上経過 ↓ 原則として申し出により退職可能
という仕組みです。
ただし、高度な専門的知識等を有する労働者や満60歳以上の労働者との一定の契約は対象外です。
試用期間中なら何日前?
試用期間中であっても、雇用契約そのものが無期契約である場合があります。
その場合、
「試用期間だから絶対に辞められない」
ということではありません。
まず雇用契約書や労働条件通知書で、
・契約期間
・試用期間
・退職手続き
を確認しましょう。
無期労働契約であれば、原則として民法627条の考え方が適用されます。
「今日辞めます」はできる?
法律上の原則が2週間だからといって、
「必ず2週間働かないといけない」
とも限りません。
会社が即日退職に同意すれば、その日を退職日とすることも考えられます。
また、
・有給休暇を取得する
・会社と出勤しないことについて合意する
などによって、退職日まで実際に出社しないケースもあります。
ただし、
「今日から出社しない」ことと「今日付で雇用契約が終了する」ことは別です。
自己判断で無断欠勤するのはトラブルにつながる可能性があるため注意しましょう。
有給を使えば2週間出社せずに退職できる?
退職日までに有給休暇が残っている場合、取得を希望することはできます。
例えば、
退職申出 ↓ 残っている有給を取得 ↓ 出社せず退職日を迎える
というケースもあります。
ただし、退職意思を伝えただけで有給休暇が自動的に消化されるわけではありません。
退職意思と有給取得の希望は、それぞれ明確に伝えることが重要です。
「1か月前じゃないから受け付けない」と言われたら?
会社から、
「就業規則では1か月前だから退職届は受け取れない」
と言われる場合があります。
無期労働契約については、厚生労働省は、会社が退職を認めなくても労働者が退職を申し入れれば原則として2週間経過した時点で労働契約が終了すると案内しています。
会社とのやり取りが難しい場合には、
・退職意思を書面で残す
・メール等で記録を残す
・退職届を郵送する
・外部へ相談する
などの方法も検討できます。
「後任が見つかるまで辞められない」は?
「人が足りない」
「後任が決まるまで待って」
「引き継ぎが終わるまで退職できない」
と言われるケースもあります。
可能な範囲で引き継ぎを行うことは円滑な退職のためには大切です。
しかし、会社側の人員不足だけを理由に、無期雇用の労働者の退職をいつまでも制限できるわけではありません。
厚生労働省も、無期労働契約では会社が退職を認めなくても、原則2週間経過すれば労働契約が終了すると説明しています。
退職を伝えるおすすめのタイミング
トラブルなく進められる状況なら、俺ならまず、
①就業規則を確認 ②残っている有給日数を確認 ③引き継ぎ期間を考える ④余裕を持って退職希望日を決める
という順番をおすすめする。
法律上の最低ラインだけを見るのではなく、可能であれば1か月程度の余裕を持って伝えると、引き継ぎや有給消化もしやすくなります。
ただし、
「パワハラを受けている」
「会社へ行くこと自体が限界」
「上司が怖くて直接話せない」
などの場合に、無理に円満退職だけを優先する必要はありません。
自分で退職を伝えるのが難しい場合
「1か月前どころか、明日の出勤もつらい」
「上司へ退職を言うことができない」
「退職を伝えたら怒鳴られそう」
という方もいるでしょう。
その場合には、
・公的相談窓口
・弁護士
・退職代行
など第三者へ相談する方法があります。
一人で限界まで我慢する必要はありません。
退職代行へ相談する方法
自分で会社へ退職意思を伝えることが難しい場合には、退職代行を利用する方法もあります。
サービスの対応範囲内で、
✅ 本人に代わって退職意思を伝える
✅ 退職希望日を会社へ伝える
✅ 有給取得の希望を伝える
✅ 貸与品や退職書類について確認する
などの対応を依頼できる場合があります。
ただし、会社との法的な交渉が必要な場合は、民間の退職代行が対応できる範囲を超えることがあります。
その場合には弁護士への相談を検討しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 正社員は1か月前に言わないと辞められませんか?
無期労働契約の場合、法律上は原則として退職申出から2週間です。
ただし、就業規則で退職手続きが定められている場合があるため、トラブル防止のためにも事前に確認することをおすすめします。
Q. 就業規則が「3か月前」なら3か月前に言わないといけませんか?
無期労働契約の一方的な辞職について、厚生労働省は、民法627条の2週間を超える予告期間を就業規則で設定することはできないとの裁判例が多いと説明しています。
ただし、合意退職の申込みに関する会社ルールとは区別して考える必要があります。
Q. アルバイトも2週間前ですか?
契約期間の定めがないアルバイトであれば、原則として2週間前の退職申入れという考え方になります。
有期契約の場合は別ルールなので契約内容を確認してください。
Q. 契約社員も2週間前なら辞められますか?
必ずしもそうではありません。
有期労働契約の途中退職は、原則としてやむを得ない事由が必要です。一定の1年を超える契約では、1年経過後に退職できる特例があります。
Q. 2週間前に伝えれば翌日から会社へ行かなくてもいいですか?
退職申出から2週間というルールと、出勤しなくてもよいかどうかは別問題です。
有給休暇や会社との合意など、退職日までの勤務について確認しましょう。
まとめ
退職を伝える時期について、
「法律では2週間前」
「会社では1か月前」
という2つの情報を見て混乱する方は少なくありません。
整理すると、
無期労働契約
→ 法律上は原則として退職申出から2週間
就業規則
→ 会社独自の退職手続きが定められていることがある
有期労働契約
→ 原則として契約期間途中の退職にはやむを得ない事由が必要
という違いがあります。
退職を考えたら、
①雇用契約が無期か有期か確認 ②就業規則を確認 ③退職希望日を決める ④有給日数を確認 ⑤退職意思を明確に伝える
という順番で進めると分かりやすいです。
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