どこまで会社へ伝える必要がある?
退職理由は詳しく話さないといけない?「一身上の都合」の使い方や、上司に理由を聞かれたときの伝え方・例文、離職票の注意点を解説します。
退職を伝えただけなのに怒鳴られた…もう会社へ行きたくない
「退職したいと伝えたら上司に怒鳴られた」
「無責任だと責められた」
「辞めるなら損害賠償すると言われて怖い」
「明日、上司と顔を合わせるのが怖くて会社へ行けない」
勇気を出して退職を伝えたのに、上司から強く責められると、
「自分が悪いのかな」
「やっぱり退職できないのかな」
と不安になる方もいるでしょう。
結論からお伝えすると、上司に怒られたからといって、それだけで退職できなくなるわけではありません。
また、業務上必要な範囲の注意や指導がすべてパワハラになるわけではありませんが、脅迫・侮辱・ひどい暴言などは、状況によって職場のパワーハラスメントの「精神的な攻撃」に該当する可能性があります。厚生労働省はパワハラの代表的な類型として「精神的な攻撃」を挙げています。
この記事では、
・退職を伝えたら怒られたときの対処法
・怒鳴る行為はパワハラになるのか
・翌日会社へ行くのが怖い場合
・会社から退職を拒否された場合
・自分で上司と話せない場合の選択肢
について分かりやすく解説します。
なぜ退職を伝えると怒られることがある?
退職を伝えたとき、会社側から思わぬ反応をされることがあります。
例えば、
「今辞められたら困る」
「もっと早く言え」
「みんなに迷惑がかかる」
「社会人として無責任だ」
「後任が決まるまで辞めるな」
などです。
会社として人員不足や引き継ぎの事情があることは考えられます。
しかし、会社側に事情があることと、労働者を怒鳴ったり侮辱したりしてよいことは別の問題です。
怒られただけでパワハラになる?
ここは慎重に判断する必要があります。
上司から注意・指導を受けた=必ずパワハラ
ではありません。
業務上必要で相当な範囲の指導であれば、パワハラには当たらない場合があります。
一方で厚生労働省は、パワハラの典型的な例として、
「脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言」
などを「精神的な攻撃」に分類しています。
例えば、
「お前は人間として最低だ」
「辞めるなら二度とこの業界で働けないようにする」
など、業務上の必要性とは関係なく人格を傷つけたり脅したりする言動が繰り返されている場合には、問題になる可能性があります。
退職を伝えた後に怒鳴られたらどうする?
まず、無理にその場で言い返す必要はありません。
感情的な相手に対して、その場ですべてを解決しようとすると、さらに話がこじれる場合があります。
① 一度その場を離れる
話し合いが成立しないほど怒鳴られている場合には、一旦その場を離れて落ち着くことも大切です。
退職について改めて、
・書面
・メール
・人事担当者
などを通じて伝える方法もあります。
② 言われた内容を記録する
後から、
「そんなことは言っていない」
となる可能性もあります。
可能であれば、
いつ どこで 誰から どのようなことを言われたか
を記録しておきましょう。
例えば、
・メール
・LINE
・チャット
・録音
・自分で作ったメモ
などがあります。
無理に証拠を集める必要はありませんが、すでに手元にある記録は削除せず保存しておくことをおすすめします。
「無責任だ」と責められたら?
退職を伝えると、
「途中で辞めるなんて無責任だ」
「残された人のことを考えろ」
と言われることがあります。
もちろん、可能な範囲で引き継ぎを行ったり、退職手続きを適切に進めたりすることは大切です。
しかし、
「会社に迷惑をかけるから退職してはいけない」
ということにはなりません。
退職するかどうかは、自分の働き方や今後の生活にも関わる重要な選択です。
「退職は認めない」と怒られたら?
上司から、
「退職なんて認めない」
「勝手に辞めるな」
と言われることもあります。
しかし、期間の定めがない労働契約については、会社が認めないと言っただけで、いつまでも退職できなくなるわけではありません。
退職意思を明確に伝え、必要に応じて書面など記録が残る方法を使うことを検討しましょう。
有期契約の場合は扱いが異なるため、雇用契約の内容を確認する必要があります。
「損害賠償する」と言われた場合
退職を伝えたとき、
「今辞めたら損害賠償を請求する」
と言われるケースもあります。
退職するという事実だけで、当然に損害賠償義務が発生するわけではありません。
ただし、個別の事情によっては法的な問題が生じる可能性があります。
会社から具体的な金額を請求されたり、弁護士名義の通知書などが届いた場合には、自分だけで判断せず弁護士へ相談することをおすすめします。
怒られた翌日、会社へ行くのが怖い場合
上司から強く怒鳴られた後、
「明日また顔を合わせるのが怖い」
「会社のことを考えるだけでつらい」
という方もいるでしょう。
この場合でも、
自己判断でそのまま無断欠勤することと、退職手続きを進めることは別問題です。
会社へ行くことが難しい場合には、
・会社へ状況を連絡する
・有給休暇の取得を希望する
・人事等へ相談する
・第三者へ相談する
などの方法を検討できます。
上司本人ともう話したくない場合
退職について話した際に怒鳴られた相手へ、
もう一度自分から連絡することが怖い場合もあります。
その場合は必ずしも、同じ上司だけを窓口にし続けなければならないとは限りません。
会社の、
・人事
・総務
・ハラスメント相談窓口
・上司の上司
などへ相談する方法があります。
会社内で相談できない場合には、外部の相談窓口を利用することもできます。
パワハラについて会社の外へ相談できる?
できます。
厚生労働省の総合労働相談コーナーでは、
・いじめ
・嫌がらせ
・パワハラ
・解雇
・労働条件
など、幅広い労働問題について相談を受け付けています。
相談は無料で、専門の相談員が面談または電話で対応しています。予約も不要です。
また、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)でも、パワーハラスメントに関する相談を受け付けています。
会社とのトラブルを解決する制度もある
厚生労働省には、個別労働紛争解決制度があります。
いじめ・嫌がらせなどの職場環境に関する紛争も対象となっており、
・助言・指導
・あっせん
といった制度があります。
「会社と自分だけでは話が進まない」
という場合に相談できる制度の一つです。
退職意思は記録が残る形で伝える
上司から怒られた後は、
「もう退職の話をしたくない」
と思うかもしれません。
しかし、退職意思が会社へ明確に伝わっているかは重要です。
可能であれば、
・退職届
・メール
・LINE
など、後から内容を確認できる方法を検討しましょう。
特に、
「退職について相談しただけなのか」
「確定した退職意思を伝えたのか」
が曖昧にならないよう注意してください。
退職届を受け取ってもらえない場合
上司が怒って、
「退職届なんて受け取らない」
と言うケースもあります。
その場合には、
・人事や総務へ提出する
・会社指定の提出先を確認する
・郵送する
など別の方法を検討できます。
会社が受け取らないと言ったからといって、その時点で退職そのものを諦める必要はありません。
有給休暇を使って退職する方法もある
退職日まで有給休暇が残っている場合には、有給取得を希望する方法があります。
例えば、
退職意思を伝える ↓ 退職日を決める ↓ 退職日まで有給休暇を取得 ↓ そのまま退職
というケースもあります。
そのため、
「退職すると言ったら怒られたから、あと1か月毎日上司と顔を合わせなければならない」
とは限りません。
ただし、有給休暇は退職届を出しただけで自動的に消化されるものではないため、取得希望を明確に伝えましょう。
退職を伝えた後に無視される場合
逆に、
「退職を伝えたら上司から完全に無視されるようになった」
というケースもあります。
厚生労働省ではパワハラの典型的な類型として、
「隔離・仲間外し・無視」
などを「人間関係からの切り離し」として挙げています。
すべての無視が直ちにパワハラになるわけではありませんが、意図的・継続的な行為で就業環境が害されている場合には、相談を検討しましょう。
自分で会社とやり取りするのが限界なら
「もう上司の声を聞くだけで怖い」
「電話が鳴るだけで緊張する」
「退職の話をもう一度することができない」
という状態になる方もいます。
その場合には、一人で対応し続ける以外にも、
・公的な相談窓口
・弁護士
・退職代行
などへ相談する方法があります。
退職代行を利用する方法
自分で上司へ退職を伝えることが難しい場合には、退職代行へ相談する方法もあります。
サービスの対応範囲内で、
✅ 本人に代わって退職意思を伝える
✅ 会社との直接連絡による負担を減らす
✅ 有給取得の希望を伝える
✅ 貸与品・必要書類について連絡する
などを依頼できる場合があります。
ただし、会社との法律上の交渉や損害賠償などの紛争対応が必要な場合は、民間の退職代行では対応できないことがあります。
その場合には弁護士への相談を検討しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 退職を伝えたら上司に怒鳴られました。パワハラですか?
怒鳴られたという事実だけで、一律にパワハラと判断することはできません。
ただし、厚生労働省は、脅迫・侮辱・ひどい暴言などをパワハラの「精神的な攻撃」の典型例として挙げています。
内容・頻度・状況などを含めて判断する必要があります。
Q. 「退職は認めない」と言われたら辞められませんか?
会社が認めないと言っただけで、必ず退職できなくなるわけではありません。
雇用契約が無期か有期かを確認し、適切な方法で退職意思を伝えることが重要です。
Q. 怒られたので明日から会社へ行きたくありません。
会社へ行くことが難しい場合には、有給休暇や会社への連絡方法などを確認しましょう。
無断欠勤と退職は別の問題になるため、何らかの形で状況を会社へ伝えることを検討してください。
Q. 上司ともう話したくありません。
人事・総務など別の担当者へ相談する方法があります。
自分で会社と連絡することが難しい場合には、退職代行など第三者への相談も選択肢です。
Q. 会社の外に相談できますか?
厚生労働省の総合労働相談コーナーでは、パワハラ・いじめ・嫌がらせを含む幅広い労働問題について、無料で相談できます。
まとめ
退職を伝えたときに上司から怒られると、
「自分が悪いから辞められないのでは」
と思ってしまう方もいます。
しかし、上司が怒ったことだけで、退職そのものができなくなるわけではありません。
また、
脅迫 侮辱 ひどい暴言 無視・仲間外し
などは、状況によって職場のパワーハラスメントに該当する可能性があります。
退職を伝えて怖い思いをした場合には、
①その場で無理に言い争わない ②言われた内容を記録する ③退職意思を明確に残す ④人事など別の窓口へ相談する ⑤難しい場合は外部へ相談する
という順番で整理してみましょう。
厚生労働省の総合労働相談コーナーでは、パワハラを含む労働問題について無料で相談できます。
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