月末・月途中どちらがいい?
退職日は月末と月途中で何が違う?社会保険料や健康保険、有給、転職先の入社日などを踏まえ、退職日を決めるポイントをわかりやすく解説します。
月末退職と月途中退職、どっちがお得?
「退職日は月末にした方がいいの?」
「月途中で辞めると社会保険料が安くなるって本当?」
「次の会社が決まっている場合はどうすればいい?」
退職を決めたあと、意外と迷うのが**“退職日をいつにするか”**です。
結論からお伝えすると、月末退職と月途中退職のどちらが必ず得とは言えません。
なぜなら、退職日によって、
・会社の健康保険・厚生年金の資格
・退職後に加入する健康保険
・国民年金などの手続き
・最終給与から控除される社会保険料
・有給休暇
・賞与の支給条件
・次の会社への入社日
などが変わる可能性があるからです。
特に社会保険では、退職日の翌日が資格喪失日になります。月末に退職すると資格喪失日は翌月1日になるため、退職月分まで厚生年金保険料等が発生します。一方、月途中で退職すると、その月の厚生年金保険料は原則として会社では発生しません。
ただし、その後は国民健康保険・国民年金・任意継続・家族の扶養・転職先の社会保険などへ切り替える必要があります。
この記事では、
・月末退職と月途中退職の違い
・社会保険料への影響
・退職後の健康保険
・転職先が決まっている場合
・有給や賞与との関係
・退職日を決めるときのポイント
について分かりやすく解説します。
まず知っておきたい「退職日」と「資格喪失日」
社会保険を考えるうえで重要なのが、
退職日=資格喪失日ではない
という点です。
会社の健康保険や厚生年金は、原則として退職日の翌日に資格を喪失します。
例えば、
7月31日退職 ↓ 8月1日資格喪失
となります。
一方、
7月30日退職 ↓ 7月31日資格喪失
です。
たった1日の違いですが、社会保険料の扱いが変わる場合があります。
月末退職の場合
例えば7月31日に退職すると、
退職日:7月31日 資格喪失日:8月1日
となります。
日本年金機構によると、厚生年金保険料は資格喪失日の属する月の前月分まで発生します。
つまり月末退職では、翌月1日が資格喪失日になるため、退職した月の分まで厚生年金保険料が必要です。
例えば7月31日退職なら、
7月分まで会社の厚生年金に加入
という扱いになります。
月途中退職の場合
例えば7月20日に退職すると、
退職日:7月20日 資格喪失日:7月21日
となります。
資格喪失日が7月中なので、会社の厚生年金保険料は原則として6月分までとなります。
そのため、
「月途中で退職すると会社の社会保険料が1か月分安くなる」
と言われることがあります。
ただし、ここだけを見て退職日を決めるのは注意が必要です。
社会保険料は日割りされない
健康保険・厚生年金の保険料は、基本的に月単位で計算されます。
日本年金機構も、厚生年金保険料について日割りではなく月単位で扱うことを案内しています。
そのため、
「7月31日まで1日だけ加入しているから、1日分だけ保険料を払う」
という仕組みではありません。
月末時点で加入しているかどうかが大きなポイントになります。
月途中退職なら社会保険料を払わなくて済む?
ここは誤解しやすいところです。
確かに、月途中で退職すると、会社の厚生年金保険料は退職月分が発生しない場合があります。
しかし、退職後すぐ別の制度へ加入する必要があります。
例えば、
・国民健康保険
・国民年金
・健康保険の任意継続
・家族の健康保険の扶養
・転職先の健康保険・厚生年金
などです。
つまり、
会社で払わなくなる=その月の保険料がすべてゼロ
とは限りません。
退職後の健康保険はどうなる?
会社の健康保険を利用できるのは、原則として退職日までです。
退職日の翌日以降は、資格確認書等を使用することはできません。
退職後すぐ新しい会社の健康保険に入らない場合には、主に、
①任意継続 ②国民健康保険 ③家族の健康保険の扶養
という選択肢があります。
協会けんぽの任意継続では、退職日の翌日に資格を取得します。
月途中退職でも任意継続保険料は日割りされない
任意継続を選ぶ場合にも注意が必要です。
協会けんぽでは、任意継続の保険料について、月初めに加入しても月末に加入しても1か月分の保険料が必要と案内しています。
例えば7月20日に退職し、7月21日から任意継続に加入した場合でも、
「10日分だけ払う」
という計算にはなりません。
そのため、月途中退職が必ず保険料面で有利とは限りません。
国民年金への切り替えも確認しよう
会社の厚生年金を資格喪失したあと、すぐ別の会社の厚生年金へ加入しない場合には、条件に応じて国民年金への切り替えが必要になります。
そのため、月途中で退職した場合には、
その月の年金をどの制度で納めることになるのか
まで確認しておくことが大切です。
単に会社の給与から厚生年金保険料が引かれなくなるだけで判断しないようにしましょう。
月末退職のメリット
月末退職には、次のようなメリットが考えられます。
① 退職月末まで会社の健康保険を使える
例えば7月31日退職なら、7月31日までは会社の健康保険の資格があります。
翌日の8月1日に資格喪失となります。
② 厚生年金の加入期間が退職月まで続く
月末退職では、その月分まで厚生年金保険料を納めることになります。
社会保険料の負担だけを見れば支出になりますが、その月まで厚生年金の被保険者として扱われます。
③ 手続きの区切りが分かりやすい
月末退職・翌月1日から新しい制度へ加入という形になるため、
「今月までは会社、翌月から切り替え」
と整理しやすいケースがあります。
月途中退職のメリット
月途中退職にもメリットがあります。
① 早く会社を離れられる
退職日を月末まで待つ必要がない場合、精神的・身体的な負担が大きい方にとっては、早く退職できること自体が大きなメリットになることがあります。
② 会社の退職月分の社会保険料が発生しない場合がある
月途中で資格喪失すると、その月分の会社の厚生年金保険料は原則発生しません。
ただし、その後の国民年金や健康保険等の負担まで含めて考える必要があります。
最終給与から社会保険料が2か月分引かれることがある?
月末退職で、
「最後の給料から社会保険料がいつもより多く引かれている」
と驚く方もいます。
日本年金機構によると、事業主が翌月徴収を行っている場合、月末退職では退職月の前月分と退職月分の2か月分を、退職月の給与から控除できる場合があります。
例えば、
6月分の社会保険料
+
7月分の社会保険料
が7月の最終給与から控除されるケースです。
これは必ず「二重払い」ということではありません。
会社の社会保険料の徴収方法を確認しましょう。
次の会社が決まっている場合
転職先が決まっている場合は、退職日と入社日の間隔も重要です。
例えば、
7月31日退職 ↓ 8月1日入社
であれば、
7月31日まで前職の社会保険
↓
8月1日から転職先の社会保険
という形になりやすく、空白期間が生じません。
一方、
7月20日退職 ↓ 8月1日入社
では、その間の健康保険や年金について別途手続きが必要になる場合があります。
「1日空ける」とどうなる?
例えば、
7月31日退職 ↓ 8月2日入社
の場合、8月1日は前職にも転職先にも在籍していません。
こうした空白期間について、健康保険・年金の手続きが必要になる場合があります。
転職日程を決められる場合には、
退職日の翌日に転職先へ入社する
形にすると手続きが分かりやすくなるケースがあります。
有給休暇も考えて退職日を決める
有給休暇が残っている場合、最終出勤日と退職日は同じでなくても構いません。
例えば、
最終出勤日:7月10日 ↓ 7月11日~31日:有給休暇 ↓ 退職日:7月31日
という形です。
この場合、7月31日までは在籍しています。
そのため、
「会社へ最後に行く日」と「正式な退職日」は別
ということを覚えておきましょう。
有給が残っている場合には、退職日を決める前に残日数を確認することをおすすめします。
賞与をもらってから退職したい場合
ボーナスの支給時期が近い場合は、就業規則や賞与規程も確認しておきましょう。
会社によって、
「賞与支給日に在籍している従業員を対象とする」
などの支給日在籍要件が設けられている場合があります。
そのため、
「7月10日にボーナスだから、7月9日に辞めてももらえる」
とは一律には言えません。
賞与を考慮する場合は、会社の規程を確認してから退職日を決めましょう。
傷病手当金を受給している場合は注意
退職時に傷病手当金を受給している方は、退職日の決め方に特に注意が必要です。
協会けんぽでは、退職後も傷病手当金を継続して受給するための条件の一つとして、資格喪失時に傷病手当金を受給している、または受給要件を満たしていることを挙げています。
また、退職日に出勤した場合は、資格喪失後の継続給付を受ける条件を満たさないと案内されています。
傷病手当金が関係する場合は、退職日を自己判断で決めず、協会けんぽ等へ確認することをおすすめします。
月末退職と月途中退職、結局どちらがいい?
退職日を決めるときには、
「社会保険料が安くなるか」だけで判断しないこと
が重要です。
例えば、
月末退職が向いているケース
・翌月1日から転職先へ入社する
・退職月末まで会社の健康保険を利用したい
・有給を月末まで消化したい
・社会保険の切り替えを月単位で分かりやすくしたい
月途中退職を検討するケース
・できるだけ早く退職したい
・転職先の入社日が月途中
・会社との合意で退職日を自由に設定できる
などがあります。
退職日は「お金」だけで決めない
社会保険料を1か月分減らせる可能性があっても、
そのために、
「限界なのに月末まで出勤する」
必要があるとは限りません。
有給休暇を利用したり、会社と相談したりすることで、出勤せずに退職日まで在籍できるケースもあります。
特に、
「パワハラがある」
「会社へ行くことが怖い」
「精神的につらい」
という場合には、数千円・数万円の差だけで退職日を決めるのではなく、自分の状況を優先して考えることも大切です。
自分で退職日を会社と調整するのが難しい場合
「退職日について上司と話したくない」
「月末まで働けと言われて困っている」
「有給を使いたいけど言えない」
という場合には、第三者へ相談する方法もあります。
退職サポートDREAMでは、現在の雇用状況を確認したうえで、対応可能な範囲をご案内しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 月末退職の方が社会保険料は高いですか?
会社の健康保険・厚生年金については、月末退職の場合、その月分まで保険料が発生します。
一方、月途中退職では会社のその月分の厚生年金保険料は原則発生しません。
ただし、退職後に加入する国民健康保険・国民年金・任意継続等の負担が生じるため、トータルでどちらが安いかは個別に確認する必要があります。
Q. 7月30日退職と7月31日退職では違いますか?
違いがあります。
7月30日退職なら資格喪失日は7月31日です。
7月31日退職なら資格喪失日は8月1日です。
この違いによって、会社の厚生年金保険料が7月分まで発生するかどうかが変わります。
Q. 月途中で退職すれば社会保険料はゼロですか?
いいえ。
会社の社会保険料が退職月分発生しなくても、退職後は国民健康保険、任意継続、家族の扶養、転職先の健康保険など、別の制度へ加入する必要があります。
そのため「保険料がゼロになる」とは限りません。
Q. 有給消化中も会社に在籍していますか?
正式な退職日までは在籍しています。
最終出勤日と退職日は別に設定できます。
Q. 月末退職なら最後の給与から2か月分の社会保険料が引かれることがありますか?
会社が翌月徴収をしている場合には、月末退職時に前月分と退職月分の2か月分が最後の給与から控除されるケースがあります。
まとめ
退職日は、
「月末が絶対に得」
でも、
「月途中の方が絶対に得」
でもありません。
社会保険では、
月末退職
→ 翌月1日に資格喪失
→ 退職月分まで会社の厚生年金保険料等が発生
月途中退職
→ 退職日の翌日に資格喪失
→ 会社の退職月分の厚生年金保険料は原則発生しない
という違いがあります。
ただし、その後に加入する健康保険や年金、有給、賞与、転職先の入社日なども考える必要があります。
退職日を決めるときは、
①次の会社の入社日 ②社会保険の資格喪失日 ③退職後の健康保険・年金 ④有給残日数 ⑤賞与など会社の規程 ⑥自分がいつまで働ける状況なのか
まで確認して決めることが大切です。
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